ディズニーが手掛ける3DCG映画『ベイマックス』は、多くの人々に愛される作品ですが、その『ベイマックス』に原作・インスパイア元となったアメコミ『Big Hero 6』が存在することについては知っていましたか?
この記事では、映画『ベイマックス』の原作コミック『Big Hero 6』の概要と、映画との設定やキャラクター、舞台などの違いをわかりやすく解説していきます!
映画版を見ながら『ベイマックス』との違いを比較してみると楽しいかも!気になった人はぜひ最後まで読んでみて下さい!
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『ベイマックス』原作コミックの基本情報
出典:Amazon.co.jp(©MARVEL)
タイトル | 『Big Hero 6』 |
---|---|
出版社 | マーベル・コミック |
初版発行年 | 1998年 |
ディズニーが制作した『ベイマックス』は公開から長く大きな人気を獲得しているヒット作ですが、実はこの作品には原作の漫画があります。タイトルは『Big Hero 6』!あの『アイアンマン』『スパイダーマン』などで知られる、マーベル・コミックから出版されたアメコミ作品です!
漫画の連載は1年も続いておらず、当時は人気の作品とは言えませんでした。しかしマーベルがディズニーに買収され、マーベル・コミック初のディズニーアニメ化作品として『ベイマックス』が映像化されることになった、という経緯があり、結果としてディズニーのCGアニメを代表する作品のひとつにまで知名度を高めました!
映像化にあたり、原作の内容がそのままアニメ映画化されたわけではなく、採用されたのは「登場人物のおおまかな能力」と「世界観」のみとなりました。つまり、原作漫画『Big Hero 6』には『ベイマックス』にはない魅力や、まだ映画では明らかになっていない設定の萌芽が隠れているとも言えます!
映画版とは異なる世界観を楽しむのも一興ですし、『ベイマックス』の世界観をディープに知り尽くしたい人は原作を読んでみるのがいいかもしれませんね!
『ベイマックス』の原作コミックス『Big Hero 6』のストーリー・設定
漫画『Big Hero 6』の物語の舞台は、なんと日本です!戦争での原爆投下により被害を受け、核兵器を廃絶した日本は、国を守るため代わりに兵器の代わりに超能力を持つ人間を集め、「ビッグ・ヒーロー・シックス」というチームを結成した、という設定になっています!
映画『ベイマックス』では、舞台が架空の都市サンフランソウキョウ(アメリカ・サンフランシスコ+東京)に変わっているので、ここは原作から変わっている部分なんですね!
そうした意図は、「大量の看板やネオン、電光掲示板など」「路地裏に積み上げられたビール瓶の空ケース」「エアコンの室外機」などの私たちが日常によく見かけるような、自然と日本っぽさを感じるささやかなディテールに反映されているんだとか。
舞台を日本ではなく、日本のテイストを取り入れた架空の都市にしようとしたのは、「実際の日本っぽさを再現しきるのは大変だけど、かといって中途半端な架空の日本にはしたくない」という監督の思いが反映されているからかもしれませんね!
参考:映画.com(「ベイマックス」舞台の架空都市サンフランソウキョウ、誕生の裏に日本人スタッフの存在)
『ベイマックス』と『Big Hero 6』のキャラクター紹介・比較
ディズニー版『ベイマックス』では、、マーベルの原作『Big Hero 6』のキャラクターたちがほぼそのまま採用されています!ただし、人種・能力・見た目など、ストーリーの都合上、大きく変更されている点も多く、原作の設定のみが引用されているケースも少なくありません。
例えば、『Big Hero 6』では舞台が日本となっているので、ヒロのチームの仲間たちは全員が日本人です!横文字の名前もニックネームという設定で、本名は日本人の和名という人物が何人もいます。
また、『ベイマックス』の主要キャラである、ヒロの兄「タダシ」やおばの「キャス」、大学の「キャラハン教授」などは、原作に登場していないオリジナルキャラクターという違いもあります。知っていましたか?
ここからは、原作および映画に登場するキャラクターたちを、それぞれのメディア別の変更点をまとめながら紹介していきます!原作との違いを比較してみましょう。
キャラクター名 | 映画版 の設定 |
原作漫画 の設定 |
---|---|---|
ヒロ・ハマダ(映画) タカチホ・ヒロ(原作) |
高校生の天才 | 中学生の天才 |
ベイマックス | 見た目が白いマシュマロボディー | 見た目がドラゴン |
ハニーレモン | 化学オタク | マーシャルアーツの達人 |
ゴーゴー・トマゴ | 化学オタク | 元ヤンキー |
シルバー・サムライ | (登場なし) | 原作のみの登場 |
サンファイア | (登場なし) | 原作のみの登場 |
サンパイヤー | (登場なし) | 原作のみの登場 |
ワサビ(映画) ワサビ・ノ・ジンジャー(原作) |
化学オタク | 日本人の寿司職人 |
フレッド(フレデリック・フレデリクソン四世) | ヒーローファン | アイヌ民族の超能力者 |
タダシ・ハマダ | 主人公の兄・化学オタク | (登場なし) |
キャス・ハマダ | 主人公の叔母 | (登場なし) |
ロバート・キャラハン教授 | 大学の教授 | (登場なし) |
原作『Big Hero 6』と映画『ベイマックス』のキャラクターを比較すると、「ヒロの年齢や家族構成」「ベイマックスの見た目」「登場する人物」「チームの仲間たちのバックボーン」などに明確な違いがあることが分かります!
ヒロ・ハマダ(映画)/タカチホ・ヒロ(原作)
※画像は原作版のイラスト 出典:comicvine(©MARVEL)
どちらも年は13歳と同じですが、映画『ベイマックス』のヒロは高校を飛び級で卒業済み、原作コミック『Big Hero 6』のヒロはまだ中学生です。というのも、日本では飛び級ができないため、原作版ではいくら優秀でもまだ中学生のままなんですね。
といっても『Big Hero 6』のヒロは全世界を驚嘆させた知能の持ち主で、優秀さはヒロと変わりないかそれ以上かもしれません!
ベイマックス
※画像は原作版のイラスト 出典:comicvine(©MARVEL)
映画『ベイマックス』のベイマックスはヒロの兄・タダシが作ったケアロボット(介護ロボ)でしたが、原作『Big Hero 6』では、主人公のヒロ自身がベイマックスを作っています!
また『Big Hero 6』のベイマックスはドラゴンのような見た目をしており、ケアロボットではありません!このあたり、ヒーローコミックのレーベルである、マーベルコミックとして特徴が強く打ち出ているのがわかります。
ベイマックスに課された役割は「ヒロの親友兼ボディーガード」で、電子チップにプログラムされているのも「亡き父親の思考と感情」という違いがあります。
映画『ベイマックス』では兄を失った心の穴を埋めるためのベイマックスでしたが、原作『Big Hero 6』では父代わりのベイマックスなんですね!
ハニーレモン
※画像は原作版のイラスト 出典:comicvine(©MARVEL)
映画『ベイマックス』では、化学が大好きなハイテンションの明るい女の子というイメージでしたが、原作『Big Hero 6』のハニーレモンはマーシャルアーツの達人の美少女という設定です!
イラストを比べるとよくわかるように、見た目の雰囲気も180度違います。映画『ベイマックス』では、眼鏡をかけてインドアなイメージがありますが、原作『Big Hero 6』ではかっこいい美人というような雰囲気になっています!
ちなみに、ハニーレモンは愛称で、本名は「ミヤザキ・アイコ」というなんとも日本人らしい名前です!
戦闘スタイルも異なり、映画『ベイマックス』のハニーレモンは得意分野の化学反応を利用したボールを開発して戦いますが、原作『Big Hero 6』のハニーレモンはパワーパースという道具から、自分が考えうるあらゆる道具を取り出すことができます!
ゴーゴー・トマゴ
※画像は原作版のイラスト 出典:comicvine(©MARVEL)
映画『ベイマックス』のゴーゴー・トマゴはクールでサバサバとしたかっこいい感じの女性ですが、原作『Big Hero 6』のゴーゴートマゴは少年院行きの代わりにチームに加入させられた元ヤンキーです!
180度雰囲気が変わっているハニーレモンと違い、男勝りなところは原作と映画でなんとなく似ていますね。
原作『Big Hero 6』のゴーゴートマゴは自分の名前を叫ぶと、自分の体を爆発的なエネルギーの球体に変え、超高速で突貫することができる超能力の持ち主です!彼女も日本人で、本名は「タナカ・レイコ」といいます。
映画『ベイマックス』のゴーゴートマゴは電磁サスペンションを使った反重力バイクを開発し、その車輪をスーツの足に付けることで超高速な移動を可能にしています。またその車輪をフリスビーのように使って飛ばし、相手への攻撃も可能です!
シルバー・サムライ
※画像は原作版のイラスト 出典:comicvine(©MARVEL)
このキャラクターは、映画『ベイマックス』には登場していないキャラクターです!本名は「ハラダ・ケンイチロウ」といいます。
後ほどご紹介する「サンファイア」の従兄弟で、チーム「Big Hero 6」の行動隊長です。
刀を持って戦い、刀身にタキオンフィールドを生成することで、アダマンチウム以外のあらゆる物質を切断できます!
能力はどことなく映画『ベイマックス』のワサビに受け継がれているように思えますね。
サンファイア
※画像は原作版のイラスト 出典:comicvine(©MARVEL)
このキャラクターも、映画『ベイマックス』には登場していません。
日本人のミュータントで、太陽輻射を吸収して爆発性のエネルギー・プラズマに変えることができます!
また、周囲の空気をイオン化することにより、自分自身を鋼鉄をも溶かす高熱のオーラで包むこともできます!
本名は「ヨシダ・シロウ」です。
サンパイヤー
※画像は原作版のイラスト 出典:comicvine(©MARVEL)
このキャラクターも、映画『ベイマックス』には登場していません。
サンファイアの妹で、ハニーレモンが異世界から呼び出したキャラクターです。ハニーレモンの能力が異次元のポテンシャルを持っていることがわかるエピソードですね!
本名は「ヨシダ・レユ」といいます。
ワサビ・ノ・ジンジャー(ワサビ)
※画像は原作版のイラスト 出典:comicvine(©MARVEL)
映画『ベイマックス』のワサビは大柄な黒人男性でしたが、『Big Hero 6』のワサビは日本人の侍です!見た目が全く違うので、同じキャラを基にした2人とは思えませんね!
『Big Hero 6』のワサビは寿司職人であり侍というアメリカの方が好みそうな極端な日本人像のキャラクター設定になっています!
「ワサビ・ノ・ジンジャー」という名前の由来はワサビはショウガではない(Wasabi is no ginger.)、という彼の主張から来ているそうです!
映画『ベイマックス』のワサビは、食事中シャツにワサビをこぼしてしまったことから、フレッドに「ワサビ」とニックネームをつけられた、というエピソードがあるので、名前も異なる由来に変更されていることが分かります。
フレッド(フレデリック・フレデリクソン四世)
※画像は原作版のイラスト 出典:comicvine(©MARVEL)
映画『ベイマックス』のフレッドは、仲間のなかで唯一、サンフランソウキョウ工科大学の学生ではありませんでした(タダシの友人として大学に出入りしています)。
化学には詳しくないですが、代わりに唯一、ヒーロー・特撮・SF、そして(実在する)「カイジュー・ビッグ・バッテル」という怪獣プロレスに憧れを持っているという特徴があります!
一方、原作『Big Hero 6』のフレッドは、アイヌ民族の子孫で、ゴジラのような恐竜の映像を作り出し、その恐竜に実際の攻撃をさせることができる超能力者です!
『ベイマックス』のフレッドは自らが恐竜の着ぐるみを着て戦うので、原作から映画になるにあたり、登場人物の中で一番設定が変えられているキャラクターと言えるかもしれませんね!
映画『ベイマックス』と原作・マーベルコミック『Big Hero 6』の違い
【原作と映画版の比較①】ストーリーの違い
- 原作は、所属組織があるヒーローの話
- 原作は、ヒーローたちが化学技術ではなく超能力を使って戦う
- 原作の主人公たちは、日本を守るために日々戦っている
原作では、「Big Hero 6」という「日本政府が集めた超能力者集団」が存在し、日本政府と「ギリ社」という組織によって管理されています!
映画『ベイマックス』では、チーム発足のきっかけが「マイクロボットを盗んだ犯人を捕まえる」ことで、期間限定的なヒーローだった点や組織の規模感に大きな違いがあります。
『Big Hero 6』では、チームの目的が日本を守るという大きな使命となっていることで、『ベイマックス』のヒーローたちと違い、日本に悪意を持って近づく敵たち全員と戦っていきます。
主人公たちや物語の目的の違いが、原作と映画の一番の違いと言えそうです!
キャラクターや基本的な設定が採用されているものの、原作とは違う世界線、違う物語として再構築されたのが『ベイマックス』といえるでしょう!
【原作と映画版の比較②】キャラクターの違い
- 原作は、キャラクター全員が基本的に日本人
- 原作は、化学ではなく超能力を使って戦う
- 原作と映画版では、チームメンバーの構成が違う
- 原作と映画版の片方にしか登場しないキャラがいる
原作『Big Hero 6』では、舞台が日本ということもあり登場人物は基本的に全員が日本人です。『ベイマックス』では国籍は定かではありませんが、多用な人種のメンバーが集まっていたので違いがあります。
ヒーローたちの戦い方も違い、原作『Big Hero 6』ではヒーローほぼ全員が超能力者ですが、『ベイマックス』ではキャラクターの誰も特別な力を持っていないので、化学の知識を使って開発した武器で戦います。
ヒーローものとしてはここがとても大きな違いと言えるでしょう!
また『Big Hero 6』はシリーズの中でメンバーが時折入れ替わりますが、『ベイマックス』では大学の仲良しメンバーで構成されているので、最初から最後までメンバーが変わることはありませんでした。
そしてなにより原作のマーベルコミック版と映画版では、片方にしか登場していない人物が存在しています!
原作に登場する、シルバー・サムライ、サンファイア、サンパイヤーといったヒーローは、映画『ベイマックス』には登場しません。映画のキーパーソンである、兄のタダシ、叔母のキャス、キャラハン教授も原作にはいないオリジナルキャラクターとなっています。
【原作と映画版の比較③】設定の違い
- 原作は舞台が日本だが、映画では架空の都市「サンフランソウキョウ」になっている
- ヒーロー名がそのまま本名になっている
原作コミックス『Big Hero 6』では、舞台が日本でしたが、映画『ベイマックス』ではサンフランシスコと東京を融合した「サンフランソウキョウ」という近未来都市が舞台となっています。
映画版を見ると、路面電車や立体広告、鳥居を積み重ねたような形の「サンフランソウキョウ・ゲートブリッジ」など、日本文化からの影響を受けている建築物や背景が多いことが窺えますが、あえて架空の街とすることで「ヘンテコな日本」を喧伝してしまわないような配慮やリスペクトがあるようにも感じられます!
また、原作『Big Hero 6』ではハニーレモン、ゴーゴー・トマゴなどのヒーロー名が本名とは別に設定されていましたが、『ベイマックス』ではそのヒーロー名がそのまま本名として採用されているキャラクターが多いです。
【原作と映画版の比較④】テーマの違い
- 原作コミックス『Big Hero 6』は、マーベルが手掛け、正義VS悪の戦いを中心に描いたヒーローもの
- 映画『ベイマックス』は、ディズニーが手掛け、友情や家族愛など心の交流を中心に描いたヒーローもの
原作の『Big Hero 6』は、マーベルコミックというヒーローもののレーベルが手掛けているので、核となる部分には「正義VS悪」というテーマがあり、バトルやアクションに重きが置かれているように見受けられます!
一方で、CG映画『ベイマックス』は、子どもも楽しめるポリシーが強いディズニーが手掛けているので、主人公のヒロがさまざまな経験を通して成長していく様子や、家族や友人に支えられながら兄を失った悲しみを乗り越えていく様子を感動的に描いているように感じます!
原作では王道のヒーローもの、映画ではハートフルなジュブナイルドラマと、少しテイストが異なる作品に仕上がっているようです!
たとえば、キャラクターの造形、特にベイマックスの見た目からは、原作が「カッコよさ・強さ」、映画が「愛らしさ・親しみやすさ」を重視していることが一目瞭然ですね!
まとめ:原作『Big Hero 6』と映画『ベイマックス』の違い
原作のマーベルコミック『Big Hero 6』と映画『ベイマックス』との違いについて、いろいろな角度から解説してきましたがいかがでしたか?それぞれの作品の特徴や面白さが伝わっていればうれしいです!
原作の魅力や映像化の際の変更点を知ると、どういう工夫が凝らされているかが分かって興味深いですし、映画『ベイマックス』についてもより深く楽しめるようになったような気がしますね!
原作が気になった人は、Amazonなどで原作漫画(※ただし英語のみ)が簡単に購入できるようなので、ぜひ手に入れてみましょう!
もしまだ映画『ベイマックス』を見ていない人がいれば、ぜひこの機会に動画配信サービスを利用して視聴してみてください!アクションあり、感動あり、笑いありで誰もが楽しめる作品として、子どもにも大人にもオススメです!
もちろんもう見たことがある人も、原作との違いを知れば一味違う楽しみ方ができるので、もう一度視聴してみるのもいいかもしれませんね!
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